ミラノ工科大学 Politecnico Di Milano Design and Engineering 1年冬学期編その1
一般的な情報
修士コースは日本のように研究がメインではなく授業がメインである.というか研究は最後の半年しかしない.合格するには30点満点で18点の60%の得点が必要.得点は筆記テストやプロジェクト(後述)の合算になる.1年は冬学期と夏学期の2学期制.
取得必要単位数はECTSという基準で120ECTS必要である.これを2年間で取得できるようになっている.(なっていない可能性も…)
平均すると1学期に30ECTSとなるが,スケジュールは甘くない.なんと1年冬学期には42ECTS授業が組まれていた.6ECTSの選択科目を次の学期に選ぶことも可能である(計36ECTSになる).さらにイタリア語の授業もある.
注意点
大きな問題のように見えないかもしれないが1年冬学期は予想以上に厳しい.なぜなら,新しい国で生活を始めるので慣れるのに時間がいつもより必要であり想像以上に疲れる.また友達もいない状態から始まるので疲れを癒す機会も少ない.イタリア訛りの英語にも慣れないといけない.滞在許可の申請もある.特に自分の場合選んだ住居がとんでもなかったこともある(別記事).それなのに授業が多めとなると厳しい.こういった目にみえないタスクも考慮する必要がある.
ここからは授業の紹介
Product Development Studio 1 (12 ECTS)時間0915-1815
時間割上は9時間もあるが12時から1430時までは昼休憩である.午前と午後に内容が分かれている. 午前中はデザインの授業,午後はSolidWorksと製図の授業である.
・午前の授業
デザインの授業では最初の数週間で意匠やデザインの持つ意味や製品への言語の付与のしかたを学ぶ.主にデザインを学んでいなかったエンジニア向けの授業のようだ。
次に4-5人のグループでプロジェクトを行う.自分たちの場合,ある電気ポッドを新しくデザインすることであった.またグループは国籍や工学とデザインの学生を混在するよう言われる.これは練習のようなもので1か月ほどで終わる.次のグループワークが得点で多くを占めるプロジェクトととなる.ここで解散し新しいグループを作ることも可能.
次の題材はJosephJosephのペダル式圧縮ごみ箱を新しくデザインすることである.
顧客や文脈の決定,それに基づく製品の意図を表現できるデザインを作る.毎週教授たちに進捗を報告しフィードバックをもらえる.注意しなければならないのは圧縮の機構よりも意図が十分伝えられるデザインであるかどうかである.自分たちの場合は4人でシェアハウスに住む学生を対象とした.
・午後の授業
学期の半分くらいまで講義形式でSolidworksの使い方を学ぶ.後半で4人のグループを作りプロジェクトを行う.霧吹きのReverseModelingであった.霧吹きを分解し,寸法を測り3Dモデルへ投影,そして図面に落とし込む.最後にSolidworksのテストもある.これは2-3時間で図面を読み解き3Dモデルと図面を描くというもの.
・採点の方法
午前の授業→プロジェクトの評価
午後の授業→Solidworksのテストとプロジェクトの評価
それぞれの割合は午前の授業が60%,Solidworksのテストが40%.午後のプロジェクトは2点のみである.
感想
人生で初めてのデザインの授業ということもあり刺激的で興味深かった.毎週教授たちからフィードバックが受けられるのも良かったと思う.内容的にはインプットよりアウトプットの為の講義であると感じた.日本ではインプットが多いので新鮮であった.まあインプットしたものがないとアウトプット出来んけども.製図の授業で日本のように3点透視図法ではなく欧州では1点透視図法であり,その違いに少し戸惑った.
ここからネガティブな感想→しかしグループワークでは,この映画の先生みたいな人と一緒になってしまった.映画に出てくる人に会えてよかったね.
だが,もう二度とごめんである.
その2へつづく