激録・イタリア留学@ミラノ工科大学そしてブルガリア

ミラノ工科大学とイタリア留学の実情とブルガリア

ミラノで部屋を見つけよう

ミラノで住居を見つけるには?

 留学でも良い住居を見つけることは非常に大切である.良い部屋が無いと勉強にも支障をきたしてしまうし毎日の生活がつまらなくなってしまう.また,大阪の大使館の範囲にある場合1年間の住居の契約書が無いとビザの申請も通らない.しかし,部屋を探しにミラノまで行くのももったいない.なので現地に行かなくても良いようにオンラインで部屋を探す方法を紹介する.

 ミラノ工科大学の寮が値段や通学の面において最適である.入寮の申し込み時期は6月と1月にある.

Residenze: Home

6月は特に人気であり,また新入生は一番優先度が低いので入れないと考えた方が良いだろう.

 そうなので外部の不動産仲介業者から部屋を紹介してもらうことになる.ミラノ工科大学はいくつかの会社と契約があり,割引があるので活用しよう.以下にそのサイトを示す.

Residenze: Other residences

 ここにある業者は英語でもやり取り可能である.またミラノは特に中心地は残念ながら安くて良い物件は少なく人気が高いのですぐ埋まってしまう.9月から入学なら6月ころには決定しておいた方がよい.というのもミラノ工科大学の寮の申し込みの締め切りが6月なので,それ以降であると入れなかった人が流れてくるからである.

これ以外に英語でやり取りできるのはSpotahomeというサイトがある.

Apartments and rooms for rent | Spotahome

 部屋の相場であるが,1つの部屋にベッドがいくつかある場合,250~300ユーロであると安いが,ろくな部屋で無い確率が高いので避ける方が良い.

自分の経験談

samurailevski.hatenablog.com

しかし普通の部屋の可能性もあるので一概には言えない.350ユーロ以上であると安心できる確率が上がる.

 1人部屋でキッチンやトイレのみをシェアする場合450ユーロ以上となる.費用としてこれに加え光熱費とWifiなどがかかる.シェアの場合,夏は20ユーロほどで冬は暖房装置の値段によりプラス50~80ユーロとなるが,これは何人でシェアしているか,家の古さによっても異なる.一人部屋の場合,光熱費は100ユーロ以上と聞き及ぶ.

 ミラノにある程度住み,次の部屋を探すときは現地の不動産業者が良いかもしれない.

例えば,

www.immobiliare.it

このサイトには安めの部屋がある.PostoLettoはベッド,Prezzoは値段である.AffittoはRentという意味である.

基本的にイタリア語でのやりとりになると思われるが上記で述べたサイトより安めのものが多い印象である.

こちらのサイトもある

 

https://www.idealista.it/affitto-case/milano-milano/con-prezzo_400/

が,あまり良い部屋は見つからなかった.しかし何でも試してみる方がよい.

日本人向けのミラノ掲示板にもたまに情報が載るのでチェックしよう.

kaigai-bbs.com

ミラノも中心地で探すとなると難しいが郊外へ行くと安い物件がある.しかしそういった範囲はミラノ工科大学の紹介する業者のサイトには,あまり無いし交通費を考えると変わらない値段になることもある.しかし中心地に比べると人も少なく静かで生活しやすいと思う.

 

こんな家にはもう住みたくない(泣) ミラノ イタリア 注意

 こんな家にはもう住みたくない(泣) 留学初日から最悪な滑り出し.住む家探しに失敗し大変なところに来てしまった話をしようと思う.見つけた家は,Sesto Rondo駅から徒歩五分という優れた立地だが実態は恐ろしいものであった.

ここを選んだ理由は,ただただ安かったからである(月285ユーロ).安いからには理由があるんやな.4か月も住んだことを誇りに思う.

www.spotahome.com

では問題点を挙げていこう!

問題点1 家主が盗人

よく物がなくなったのだが,長くすむ住人に話を聞くと家主が犯人らしい.手口も小賢しく例えば冷蔵庫にある食材を盗む際は一気に盗まず少しずつ盗み,ばれないよう工夫しているのである.なるほどね,そうやって盗むのか!

問題点2 違法物件

ミラノの条例では1部屋にいられるベッドの数が決まっているのであるが,それを超過している.最終的に3部屋で15人が住んでいた.人の息吹を毎日感じられるよ.

問題点3 住人の民度が低い

ごみをごみ箱に入れることを知らない人が多い.テーブルに置いておけば勝手に消えるとでも思っているのであろうか.コンロも汚しっぱなしにしやがる.

問題を擦り付ける人が居る.よく問題となったのが掃除当番である.1人,いつも掃除をやっていないだろうと僕に言ってくる人がいた.僕の生活を1日中見ていないのにどうやってそこまで確信があるのだろうか.

問題点4 うるさい

必要以上に大きな声で話す人が多い.1階にいても2階で話しているのが分かるほど大きな声でお話しになられる.あと家に帰ってくると寝るまでずっと歌っている住人もいた.毎日同じ歌やし地味に上手いのがなんとも言えない.ちなみにElton JohnのRocketmanという歌.風呂中も料理中も...毎日無料のコンサートが聴けると思えば良いね.

問題点5 ヤク中

マリファナ吸おうと誘ってくる住人がいる.コカインやりたいけど金がないから出来ないと抜かすものがいる.薬物に興味がある人には良い物件ですね!

問題点6 家主の兄がパワハラ

どういう人間かはwhiplashという映画に出で来る先生を思い浮かべて欲しい.

映画に出て来る人に現実に会えてよかったよ.

www.youtube.com

問題点7 家主もパワハラ

上記に同じ

問題点8 住人が勝手にいなくなる

ある日突然家に帰ってくるとある人がいなくなっていたりする.

諸行無常である.

問題点8 ごみの分別をしない.ミラノのルールではごみを分別して捨てなければいけないのだが全てを同じごみ袋へ入れていた.

楽ちんでよい.

問題点9 線路の横なので音がすごい

朝や昼間などは電車の音がすさまじく快適ではなかった.1週間ほどするとなれることができた.寝る時間には電車は止まっているので問題なかった.

電車が好きならよかったかも~

こういう家が良いというもの好きな人以外はまともなところに住もう!

 こういった物件を避け,まともな家に住みたければ学生とシェアしているところや,ある程度の値段がする家に住もう.シェアハウスであれば350ユーロ以上が良いと思う.

地域としてはCorvet, Porto di mare, Sesto Rondo, Sestso san Giovanniのあたりは治安が良くない.

 次回以降にどのように部屋を探すのか紹介していきたいと思う.

ミラノ工科大学 Politecnico Di Milano Design and Engineering 1年冬学期編その3

Material Selection Criteria in Design and Engineering (12ECTS) 時間0915-1315

月曜日・水曜日

概要 製品をデザインするにあたって適切な素材を選ぶ方法を学ぶ.理論的な部分では機会工学科ではお馴染みの応力,ひずみ,ヤング率,ひずみ応力線図など材料力学の基礎的な部分を含む.また機械材料の知識も少しだけ触る.プラスチックやフォームの性質,物質の耐摩耗性,耐水性,熱性,電気的特性も習う.熱性の部分では熱力学の知識も必要(熱伝導率など).これらの物質を性質ごとに比較検討し,製品の条件を重要度ごとにランク付けすることにより適切な素材を選ぶ.教科書は,

Materials: Engineering, Science, Processing and Design (English Edition)

https://www.amazon.co.jp/dp/B001V7U740/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

である.CES Edupack 2019を副教材として用いた.

評価方法 期末テストと期末課題によって決まる.期末テストだけでも満点に届くので期末テストが非常に重要.教科書の内容を理解し覚えれば良い.図の説明なども出来る必要がある.

感想 日が経つにつれて朝の授業ということもあり,来る人数が非常に減少していったのが面白かった.教授も授業中であろうとなかろうと僕の質問に真摯に対応してくれてよかった.どんなに基礎的な(馬鹿げた)質問をしても嫌な顔せず答えてくれたのは助かった.ところで期末課題は例の気の合う友人と行なったので楽しかった.年末年始は2日に1回ほど,その友人と会い勉強していた.お金はないが時間があるなら勉強しよう!また一回,待ち合わせ場所をお互い誤解したことがあった.しかし会うためにお互いがお互いの場所に向かうという惨事が起こりその日は会うことが出来ないというハプニングもあった.年末にはカウントダウンコンサートにも一緒に行った.なんにせよ悪くない成績でお互い受かったので良かった.

Mechanical Design (6ECTS) 時間1415-1815 水曜日

概要 高校物理の内容から機械工学科1年の力学波動の授業で行ったレベルの物理を扱う.スカラーとベクトルの違い,ニュートンの法則,運動方程式,摩擦など.講義形式で理論を学んだ後に例題を用いて理解を深める.2回ほどSolidworksを用いた動作解析も行った.この解析を用いた期末課題が課せられる.これもグループワークで3人ほどのグループを作る.

評価方法 筆記試験と口述試験,期末課題.筆記試験が25点で口述試験と期末課題に参加すると満点が取れる.期末試験は事前に過去問が配られるので対策は容易.

感想 教授たちは授業中の質問に好意的で1番好きな授業であった.むしろ質問しやすい雰囲気を作ってくれて,ありがとうまで言われた!期末課題は例の友人ともう一人のワルシャワ工科大出身の学生と組んだ.ワルシャワ工科大の彼は自分が今まで見た中で1,2を争う優秀さであった.頭脳の明晰さや細部へのこだわりと探求心,諦めなさは群を抜いていた.にもかかわらず,それを鼻にかけるという訳でもなく非常に良い人間であり感動的であった.工学系の授業ということもあり,馴染みが一番深かったので今学期の中で一番やりやすかった.

イタリア語を学ぶ授業(単位に換算されない) 月水か火木 1815-2015 全15回

概要 ミラノ工科大学ではイタリア語を学ぶ授業も用意されている.イタリア語以外にもドイツ語やスペイン語の授業もあるようだ.イタリア語の授業をとるには,まず9月中旬までにPolimi online servieにあるイタリア語の診断テストを受ける.それで自分の行けるクラスが決まる.費用は100ユーロ.登録の時に払う.授業をしばらく受けてみてレベルが合わなければ変えることも可能.

評価方法 テストはない

感想 先生がたまたま日本語学科を卒業した方で親しくしてくれた.ヘビメタが好きだそうだ.最後の授業にはクリスマスのお菓子Panetoneを持ってきてくれた.これが食べたい人は授業を受けよう!

 

ミラノ工科大学 Politecnico Di Milano Design and Engineering 1年冬学期編その2

Design and Thinking (6 ECTS) 時間0915-1315 木曜日

概要 これまた4時間と長い授業であるが講義形式のようにただ教授の話すことを聞くだけでなくグループワークなどがあるので思ったほど長くは感じない.使用した教科書

Evolving Perspectives in Product Design: From Mass Production to Social Awareness (English Edition)

https://www.amazon.it/Evolving-Perspectives-Product-Design-Production-ebook/dp/B07C3SGV1V

である.著者がこの講義の教授なので授業内容がイメージしやすいだろう.この本の内容は哲学的な要素もあり理系の論文のように客観的かつ定量的には記述されておらず学部で工学的な教科書ばかりに親しんでいたので難しかった.また文章中における英語に多々間違いというかイタリア訛りの文法であるため英語ネイティブほどの読解力のない自分としては理解するのに四苦八苦した.内容の難易度としてはセンター試験の国語の難しい時の評論くらいであると思う.

 授業には2つの形態がある.1つ目はプレゼン発表である.3人のグループを作り本の内容から抜粋された論点について賛成と反対に分かれ発表をする.自分たちは特許の必要性について反対の立場を表明するという題であった.他に3つありDesignthinking,3D技術,倫理があった.プレゼンは1回で良い.

 もう1つは,グループワークで,とある製品について分析する.グループは毎回異なる.2時間ほどで製品の背景や企業の歴史について調べ,どういう意図でデザインされたのか理解する.最終的に2分程の発表を行う.

評価方法 2種類あり1つを選ぶことができる.1種類目はプレゼンと4回の小テストの結果によって決まる方法である.プレゼンが満点4点で小テストは1回あたり6.5点である.小テストは2章ごとに毎回,本の内容を問う.2種類目は期末テストのみを受ける場合である.個人的には1種類目を推奨する.というのも本は15章ほどあり難解で図もたくさんあるので期末テストの日までに全て理解できても暗記するのは難しいからだ.というか,それが可能な頭脳があれば1種類目の場合でも,2種類目でも問題ないだろう.

感想

 もともと読解の苦手な自分にはとても難しく感じた.さらに小テストは記述なので理解があやふやなことを聞かれると日本語で回答するときと異なりなにとなく知っていることをつなぎ合わせ,正しいようなことを言うことが出来ず難しかった.

 グループワークでは議論になれている欧米出身の学生は頭脳明晰でもあり進行も早く,ついていくことが難しかった.その場で考え発言する過程になれる必要があると感じた.発言をするよりも空気を読んでしまいがちになるとたちまち議論に置いて行かれてしまう.

 最後に批判的なことを言う.筆記試験中,教室の後ろの方へ皆移動するが,多くの人はカンニングをする為であり教授もそこまで止めることもしない.非常に衝撃的であった.イタリア内で世界ランキング的には1位の大学なのに,その程度の倫理観しか芽生えていないのは悲しかった.

Reverse Modeling(6ECTS)時間0915-1315 火曜日

 概要 そう,ミラノ工科大学では4時間授業が普通である.これは3次元の物体をスキャンし3Dデータへ変換する理論と実践を学ぶ授業である.遺跡や過去の芸術品を3Dデータに出来れば,その場にいなくてもそれらの研究ができる.レーザースキャナによる方法とカメラによる2次元データを使った方法を学ぶ.前半と後半でこの2つの内容は分けられる.これは選択授業なので他の授業を選ぶことも出来る.

最初の1-2週で講義があり,その後に実践となる.実践では3人のグループを作る.自分たちはメロンをレーザースキャンした.このメロンは3Dデータとして半永久的にこの世に残されるのである.得られたデータをPOLYWORKSというソフトを使い処理する.最終的にRhinocerosなどで色を付ける.これらのソフトは講義室のPCに備え付けられているので買わなくてよい.最後に締めとして4択問題テストが出される.

 次にカメラを使った方法を学ぶ.最初に講義を行ってからテストの流れは同様である.

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レーザースキャナの画面

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画像から構成した3Dデータ

評価方法 小テストの結果とスキャンし3Dに復元したデータの質で決められる.小テストで51%以上獲得しないといくらスキャンデータが良くても合格できない.小テストは2回や3回受ける機会があるので心配ないが,後になると他のテストもあるので忙しくなるだろう.小テストは講義を隅から隅まで完璧に理解し,それ以上の知識があれば余裕である,つまり難しい.授業中に寝ていると合格は難しい.

感想 

 一番気の合う友人と組むことが出来たので楽しかった.その友人ともう一人のメンバーは非常に優秀で,課題が達成できたのは彼らの功が非常に大きい.むしろ頼りすぎてしまったのは反省かもしれない.テストは難しくもう一回やれば受かる気がしない.授業の理解を助けるのに,これらの動画が良かった.

https://youtu.be/_mOG_lpPnpY

その3へつづく

ミラノ工科大学 Politecnico Di Milano Design and Engineering 1年冬学期編その1

一般的な情報

 修士コースは日本のように研究がメインではなく授業がメインである.というか研究は最後の半年しかしない.合格するには30点満点で18点の60%の得点が必要.得点は筆記テストやプロジェクト(後述)の合算になる.1年は冬学期と夏学期の2学期制.

 取得必要単位数はECTSという基準で120ECTS必要である.これを2年間で取得できるようになっている.(なっていない可能性も…)

 平均すると1学期に30ECTSとなるが,スケジュールは甘くない.なんと1年冬学期には42ECTS授業が組まれていた.6ECTSの選択科目を次の学期に選ぶことも可能である(計36ECTSになる).さらにイタリア語の授業もある.

注意点

 大きな問題のように見えないかもしれないが1年冬学期は予想以上に厳しい.なぜなら,新しい国で生活を始めるので慣れるのに時間がいつもより必要であり想像以上に疲れる.また友達もいない状態から始まるので疲れを癒す機会も少ない.イタリア訛りの英語にも慣れないといけない.滞在許可の申請もある.特に自分の場合選んだ住居がとんでもなかったこともある(別記事).それなのに授業が多めとなると厳しい.こういった目にみえないタスクも考慮する必要がある.

ここからは授業の紹介

Product Development Studio 1 (12 ECTS)時間0915-1815

 時間割上は9時間もあるが12時から1430時までは昼休憩である.午前と午後に内容が分かれている. 午前中はデザインの授業,午後はSolidWorksと製図の授業である.

・午前の授業

 デザインの授業では最初の数週間で意匠やデザインの持つ意味や製品への言語の付与のしかたを学ぶ.主にデザインを学んでいなかったエンジニア向けの授業のようだ。

 次に4-5人のグループでプロジェクトを行う.自分たちの場合,ある電気ポッドを新しくデザインすることであった.またグループは国籍や工学とデザインの学生を混在するよう言われる.これは練習のようなもので1か月ほどで終わる.次のグループワークが得点で多くを占めるプロジェクトととなる.ここで解散し新しいグループを作ることも可能.

 次の題材はJosephJosephのペダル式圧縮ごみ箱を新しくデザインすることである.

 顧客や文脈の決定,それに基づく製品の意図を表現できるデザインを作る.毎週教授たちに進捗を報告しフィードバックをもらえる.注意しなければならないのは圧縮の機構よりも意図が十分伝えられるデザインであるかどうかである.自分たちの場合は4人でシェアハウスに住む学生を対象とした.

・午後の授業

 学期の半分くらいまで講義形式でSolidworksの使い方を学ぶ.後半で4人のグループを作りプロジェクトを行う.霧吹きのReverseModelingであった.霧吹きを分解し,寸法を測り3Dモデルへ投影,そして図面に落とし込む.最後にSolidworksのテストもある.これは2-3時間で図面を読み解き3Dモデルと図面を描くというもの.

・採点の方法

午前の授業→プロジェクトの評価

午後の授業→Solidworksのテストとプロジェクトの評価

それぞれの割合は午前の授業が60%,Solidworksのテストが40%.午後のプロジェクトは2点のみである.

感想

人生で初めてのデザインの授業ということもあり刺激的で興味深かった.毎週教授たちからフィードバックが受けられるのも良かったと思う.内容的にはインプットよりアウトプットの為の講義であると感じた.日本ではインプットが多いので新鮮であった.まあインプットしたものがないとアウトプット出来んけども.製図の授業で日本のように3点透視図法ではなく欧州では1点透視図法であり,その違いに少し戸惑った.

 ここからネガティブな感想→しかしグループワークでは,この映画の先生みたいな人と一緒になってしまった.映画に出てくる人に会えてよかったね.

www.youtube.com

だが,もう二度とごめんである.

その2へつづく

人種差別だったかもしれない話

    先週Development Studio という授業の初日であった.これはグループワークのクラスである.自分が学部で1年次に行った工作実習の発展版といった印象であった.

 グループを作る際に,担当教員は,出来るだけ異なるバックグラウンドを持つ人々が組むように促した.何故なら異なる性質の者が交わることで,より創造性が発揮されると期待されるからである.主に国籍や専攻が異なる性質の例として扱われた.グループの人数は4人である.

 僕自身もこの考えには大いに賛成で違う性質同士の交流によって新しいものが生まれるし,同じ性質同士では創造には限界があると思う.その為に僕は色々な国籍や専攻の混ざったグループを作りたいと思った.

 そんな中,僕は仲の良くなった同じ機械工学の学士から来た1人のインド人と一緒に話し,また2人のIndustrial Designの学士から来た中国人がはぐれているのを見つけた.他にもデザインの学士から来た4人の西洋系(ウクライナ人,スペイン人?,イタリア系ウルグアイ人,イタリア人?)の人々が良いバランスでグループを作れずに右往左往していた.

 気が付くと,この3者は一堂に会していた.僕はこの中で異なる性質が交わり授業の目的に沿うグループを作るには,機械系の僕とインド人が2手に分かれて,デザイン系の6人を分配し4人4人のグループを作ることであると考え,提案した.

 中国の人は,英語が分からないのか反応が薄かったが,西洋系の人からは言葉ではないが態度で反対を感じた.むしろ西洋系の中の1人が2人の中国人とインド人と僕で,つまりアジア系でグループを作り,他の西洋系は別にグループを作るよう申してきて,且つそれ以外は有り得ないといった態度であった.他の西洋人も何も言わず,黙っていた.僕は反対を唱えようとしたが,その間もなく彼らは,そっぽを向き交流を拒絶した.なので最終的に僕とインド人と中国人はグループを作った.

 しかし西洋系の4人は自分たちがデザインのバックグラウンドしかなく工学系の人が必要なのに,僕らとグループになりたくないというのは不自然であると感じた.

 つまり授業の趣旨を無視してでも僕らと組みたくない他の理由があると推測された.結果,彼らの態度とインド人や中国人が感じたことを総合すると,この西洋人達が僕らと組みたくないのは僕らがアジア人であるからだと推測された.

 その理由は,3つある.1に,彼らの態度が全く僕らと組むつもりを感じなかったこと,2にアジア人と西洋人に分かれたあと,西洋人の1人が自分はデザインだが工学寄りのバックグラウンドを持つから工学系が居なくても大丈夫だろう,といった話をしているのを聞いたこと,3に言葉では伝えられないが,僕らが人種によって疎外されたと強く感じたことにある.

 人種によって疎外されたと感じるのは主観的であり,間違いであるかもしれない.単に僕や他の人が嫌われていたのかもしれない.しかし西洋人の中には僕やインド人と友好的にしていた人もいたので考えにくい.また,僕と中国,インドの4人が人種によって疎外されたと感じたのは共通していた.異なる4人の人間が同様に感じていたのだから,完全なる間違いではないと思う.

 何が正しいのかは分からないし明らかにする必要も無いが,僕たちは非常に悲しい思いをしたのに違いはなかった.インド人によるとその様なことは初めてらしく僕もブルガリアで西洋の人も含め色々な人と交流したが,この様に明確に不快な形で感じたことはなかった.僕の言語能力が低く感じなかっただけなのだろうか.中国人も同様に悲しみ怒りさえ表していた.

 しかし,この様なことがあった時に取る対応として最悪の手段は敵意を剥き出しにして,例の西洋人のグループと相対することである.僕たちが悲しく感じたのは,西洋人や色々な人とも仲良くしたかったのに人種という変えようの無い要因によって拒絶されてしまったからであろうし,真意はともかく僕らがそう感じてしまったからだ.

 つまり元々は人々と仲良くしたいであって敵対することは自分たちの欲求と真反対のことをすることになってしまう.また敵対することは人種による隔絶を無くすことにも繋がらないし,むしろ悪化させてしまうだろう.これは僕の求めている世界ではない.

 僕の求めているのは人種や宗教などに関わりなく違いをお互いに尊敬できる関係性のある世界である.この世界を実現するには何故,彼らが僕らを拒絶したのか考える必要がある.

 彼らがなぜ拒絶したのか考えると,肯定的に捉えれば,単に彼らが僕らのことを良く知らなく恐れていた可能性がある.例えば,知らない土地や国に行くのは勇気のいることとよく言うが,それは知らないことが沢山あり自分の予想を超える事が多く,それに恐怖を感じるからである.

 この恐怖を克服する方法が2つあり,1つは,それについて知ることである.知ることが出来れば予測が出来,怖くなくなるのである.知らない土地でも長く住めば慣れてくるのと同じである.

2つ目は恐怖を抱く人が,それに打ち勝ち,異質なもの同士の交わりの良い点に注目する為にサポートすることである.今回の授業では,そのサポートが不十分であったのかもしれない.

 そして,この話は他人事ではない.何故なら,もしかしたら自分たちが日本では逆の立場になってしまうのかもしれないからである.例えば僕が学部で勉強していた時には,グループワークの時,留学生と一緒になった学生が自分は運が悪いといったような話をしていたのを聞いた.彼によると留学生は日本語が不自由であるからやりにくくなるそうだ.それは事実であり,恐怖を感じるのは仕方がない.

 なぜなら彼も,今回僕らが遭遇した西洋人と同様に異質なもの同士が交わることによる意義よりも恐怖心が勝ってしまい,その恐怖心へのサポートも十分得られず,そういった経験も少なかったので,つい出てしまった発言してしまったのだと思う.

 最後に今回のことを通して西洋人全体がアジア人に対して差別的な思想を持っていると言いたいのではない.むしろ人種を問わず未知への遭遇を起因とする恐怖心への反応として相手に不快な思いをさせる可能性があるので注意しなければならないということである.また,こういった経験を出来るのも海外で学ぶことの意義ともいえる.

 

 

 

ミラノ工科大での留学のはじまりはじまりDesign and Engineering コース

授業の様子

今回は授業について述べようと思う.殆どの初回の授業が終わった.

 僕は修士コースにいるが日本と違って研究活動が主軸ではない.その代わり授業を取ることが主となる.もし研究活動で修士を取ることに興味があるならResearch Masterで探せば大学が見つかるかもしれないが欧州ではあまり無い.殆どイギリスであった気がする.

 授業の時間割.2学期制であり,これは1年の1学期のものである.

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 このように特徴的なのは1つの授業の時間が長いことである.金曜日のProduct Development Design Studioに至っては9時間もある.休憩が1時間くらいあるがそれでも長い.他も4時間が基本となっている.イタリア人の友人よると珍しいことではないそうだ.

 ずっと話を聞いているのではなく友達や先生と議論する時間もあるので飽きはしない.また授業中に質問することも文化的に良いそうなので眠くなったら質問して目を覚ましても良い.

授業の紹介

Material Selection Criteria in Design and Engineering:自分がデザインしたい製品に最適な素材と製造方法を学ぶ.

Reverse Modeling:職人など人の手によってデザインされた物体を3Dモデルへ落とし込む方法を学ぶ.

Design Thinking and Process:そもそもデザインとは何なのか学ぶ

Product Development Design Studio:製品の概念の策定からそれを実際のものへ昇華するまでのプロセスを学ぶ

Mechanical Design:準備として数学の授業を行っている.

詳細:http://design-engineering.polimi.it/the-course/ からcourse program